Interview
技術士の資格は、この仕事をちゃんと続けてきた証。

技術士の資格は、この仕事をちゃんと続けてきた証。

鄭 聖也 技術開発部 設計課 課長補佐 資格:技術士(建設部門)、RCCM(河川・砂防及び海岸・海洋)、RCCM(道路)、RCCM(土質及び基礎)、 地質調査技士 コンクリート診断士、 地すべり防止工事士

担当している仕事について教えてください。

A.主に、砂防に関わる仕事です。
河川と砂防の設計を担当していますが、その中でも 砂防の仕事が多い です。
砂防というのは、大雨のときに山から流れてくる 土石流 を止めるための構造物を作る仕事です。

主に使うソフトはCADですが、設計計算時には各種専用のソフトを利用します。現場よりもデスクワークが長いです。

主に使うソフトはCADですが、設計計算時には各種専用のソフトを利用します。現場よりもデスクワークが長いです。

一般的にダムと言うと、水を貯める大きなダムを想像されると思いますが、
砂防ダムはコンクリートの壁のようなもので、目的は土砂を受け止めること。川底が削られたり、運ばれてきた土砂が一度に流されたりすることを防ぐためのものです。大雨によって発生した土石流をくい止め、下流にある住宅や田畑を守る働きがあります。

山には古い固い地層と、新しい柔らかい土砂が重なっている場所があります。
大雨が降ると水が柔らかい土砂の中にたまり、その水の圧力で 崩れて流れ出す のが土石流です。これを食い止めるのが砂防ダムの役割です。

太洋技研で過去に設計した砂防ダム。水ではなく土砂をせき止める

砂防ダムの設計はどんな流れで行うのですか?

A.現地調査からスタート。
まず、土石流がどれくらい発生しそうかを調べるために 現地調査 をします。

・土砂がどこから流れるか
・どの位置にダムを作るのが最適か
・工事車両が入るための道路をどう通すか

などを確認しながら、設計を進めます。
砂防ダムは一般的に 10〜15mほどの高さのものが多いです。長崎は谷が狭いので横幅は 30m程度のケースがほとんどです。長崎と地形が異なる長野や広島などでは、横幅100m級の砂防ダムもあります。

後輩に教えることも大切な業務のひとつです。

長崎ならではの防災の特徴を教えてください。

A.「山側の防災」が必要。
長崎は、山と海が接近しており、斜面地が多い地形なので、川は短くて流れがとても速いのが特徴です。
昔は中島川などでも氾濫がありましたが、河川改良で改善されました。
他県と比べて 大きな一級河川が非常に少ない ため、大規模な川の改良よりも、急な斜面の崩壊を防いだり、砂防ダムなどで土石流の対策をする「山側の防災」が業務の中心になります。山で対策することで、下流の集落や田畑を守ります。

急な斜面が多い長崎では、山側の防災が重要となる。



砂防の仕事のやりがいは?

A.地域を守っているという実感。
自分が設計した砂防ダムが、山の中に形となって残り、地域の安全を守っていることです。「土石流から地域を守っている」という実感が得られるのが大きなやりがいです。

河川の設計の仕事もありますか?

A.あるけれど、多くはない。
ありますが数は多くありません。長崎は川の数も規模も小さく、大きな川を挙げるとすれば本明川くらいしかありません。よって、川の仕事は多くはありません。
川に関する業務内容は、川幅を広げたり、公園整備と合わせた河川改良などの案件が中心です。

技術士の資格を取得したのはなぜですか?

A.前職では地質調査をしていたんですが、「せっかくやるなら、設計として形に残る仕事がしたい」と思って、この業界に来ました。

インターン時代。

その中で、長くこの仕事を続けるなら、やっぱり技術士は目指したい資格だと思い、資格取得に挑戦しました。

技術士の資格取得は簡単ではありません。試験も一発で受かる人のほうが少ないし、何年もかけて挑戦する人が多い資格です。でも、その分 持っていると評価がまったく違ってきます。発注者からの信頼も得られますし、社内からも頼りにされます。

実務自体は資格がなくてもできます。ただ、技術士を持っていると、設計内容に対する信頼性が大きく上がると感じています。「技術士資格を持つこの人が責任を持って設計している」という安心感は持っていただけると思います。

技術士になるために必要なことはありますか?


若い人にはよく話しているのですが、はじめから「技術士を取らないといけない!」と思わなくていいと思います。

まずは、現場を知り、設計の流れを覚え、仕事の面白さを知る。それが先で、その延長線上に「技術士に挑戦する」という選択肢が出てくる、そんな順番でいいと思っています。

技術士はゴールじゃなくて、「この仕事をちゃんと続けてきた証」みたいな資格だと思うんです。だから、興味がある人は、焦らずに挑戦してもらえたらいいですね。

この仕事をするからには、給料面でも働く環境でも、長崎の地場企業の中ではとても恵まれている会社だと思います。特に待遇の良さは胸を張って伝えられるポイントですし、職場の雰囲気も良くて働きやすい環境です。

メッセージ

私は前職で地質調査の仕事をしていましたが、「自分が携わったものが形として残る仕事をしたい」という思いから、建設コンサルタントに転職しました。
砂防や河川の設計は、地域の安全を守る、目に見える「かたち」に残る仕事。自分が携わった構造物が地域を守る、その実感は大きな魅力です。やりがいを求める人には、とても向いている分野だと思います。興味があれば、ぜひ一度この仕事をのぞいてみてください。

お昼はお弁当です!